お知らせ・コラム
デジタル遺品整理で失敗しないための基礎知識

■ はじめに
大切な人を失ったあとの日々は、
それまでどんなに頑張ってきた人でも、
心も体も、ふっと力が抜けてしまうことがあります。
そんな中で、スマホやパソコンのこと、
もしかしたら全然手をつける気になれないかもしれません。
まずは、それでいいのです。
デジタル遺品の整理は、
“いますぐ完璧にやらなくてはいけないもの”ではありません。
国民生活センターにも、
「ロックが開かない」「どうしていいか分からない」
という方々の声がたくさん届いています。
それだけ、誰にとってもむずかしいことなのです。
どうかこの文章を読む間だけでも、
深呼吸をひとつして、
あなた自身をいたわりながら進めてみてくださいね。

■ よくある困りごと
あなたが感じている“困った”は、決して特別ではありません。
- スマホやパソコンのロックが開かない
大切な人の端末を開こうとしても、
パスワードがわからず立ち止まってしまう…。
多くの方が同じ壁にぶつかります。
二段階認証があると、手続きがさらに止まりやすくなります。

- サブスクが止まらない
動画や音楽のサービスが毎月引き落とされ続けていたり、
契約していたことすら知らなかったり…。
気持ちが落ち着かない中では、
ひとつずつ確認するのも負担になりますよね。
- SNSをどう扱えばいいのかわからない
InstagramやLINE、Facebook…。
そこに残る言葉や写真は、思い出そのもの。
触れること自体つらい方もいるかもしれません。
また、多くのSNSでは、「本人になりすましてログインすること」を禁止しています。
だから、できること・できないことを丁寧に見ていく必要があります。

■ 整理は、たった3つのステップだけで大丈夫
あなたが今つらい気持ちの中にいても、
できるだけ負担が少なくなるように、
“ゆっくり進められる方法”だけをまとめました。
① まずは、思い出すところから
いきなり全部を整理しようとしなくていいんです。
「何を使っていたかな…」
と、思い出せる範囲を、紙にやさしく書き留めてみてください。
スマホ、LINE、電子マネー、サブスク…。
ほんの少しで大丈夫です。
思い出せないところは、
メールの受信箱やカード明細が手がかりになることがあります。
無理に全部探そうとしないでくださいね。
② 大切な“思い出”をそっと守る
写真やメッセージ、記録…。
ふれただけで涙がにじむような大切なものは、
ゆっくり、そっと、コピーしておきましょう。
スマホの中ではなく、
- Googleフォト
- iCloud
など、ネット上に保管されていることも多いのです。
探しながら、心が揺れ動く時もあるかもしれません。
そんな時は、無理せず手を止めてください。
整理は、いつでも再開できます。
③ 契約やアカウントは「今日全部」はやらなくていい
サブスクの解約や、SNSの手続き、ネット銀行の相続…。
どれも、気持ちが落ち着いてからでも遅くありません。
国民生活センターも、
ゆっくり進めていいこと、必要な書類を整えながら進めれば大丈夫なこと
を伝えています。
ひとつ終わるたびに、
「今日はここまでできた」と、
ご自身をほめてあげてくださいね。

■ スマホやパソコンのこと
- ロックが開かないときは
民間の“解除業者”はトラブルも多いため、
まずはAppleやGoogleなどの正規サポートへ。
あなたが安心できる道を選ぶことがいちばんです。
- 写真やデータが見つからないとき
スマホの中ではなく、
“クラウド”という場所にそっと残されている場合があります。
見つかった瞬間、思い出があふれることもあるかもしれません。
どうか、心のペースを大切に。
■ お金に関するサービスは、ひとつずつ
- ネット銀行は、通帳がないから探しづらい
カード明細やメールから、
使っていた銀行を探すことができます。
相続窓口に相談すれば、必要なことを丁寧に教えてくれます。
- サブスクは「まとめて確認」がラク
カード明細、メールの検索、
スマホの“サブスクリプション”画面。
この3つでほとんどが見つかります。
一気にやろうとしなくて大丈夫ですよ。
■ SNSやアカウントへの向き合い方
SNSにはそれぞれルールがあります。
- 追悼アカウントにする
- 削除を申請する
- 必要書類をそろえる
こうした対応を選べますが、
本人としてログインすることは、多くのサービスで禁止されています。
あなたの心にとって、どれがいちばん負担が少ないか。
それを基準に選んでくださいね。

■ 生前にしておける「やさしい準備」
これからの自分に、そして家族に。
ほんの少しの準備が、将来の大きな安心につながります。
① 使っているサービスの名前だけ、書いておく
パスワードはいりません。
名前だけで十分、家族は助かります。
② 困ったときに相談してほしい人を伝えておく
ひとこと添えるだけで安心が広がります。
ロック番号など“直接の情報”は残さず、安全に。
③ サブスクの解約の流れをメモ
「アプリ → 設定 → 解約」
この一言だけで未来の負担が減ります。
国民生活センターも、
安全な共有方法をすすめています。
■ 困ったときは、どうか一人で抱え込まないで
- 国民生活センター(デジタル遺品の相談)
- 弁護士、司法書士、行政書士(相続・手続きの相談)
頼れる場所はいくつもあります。
あなたが少しでも心軽く進められるように、
必要なときに、必要な手を借りてくださいね。

■ おわりに
デジタル遺品の整理は、
“作業”ではなく、
大切な人との時間をそっと振り返る行為でもあります。
時には涙がこぼれるかもしれません。
手が止まる日もあって当たり前です。
どうか、急がないで。
あなたの心に合わせて、ゆっくりで大丈夫です。